地域によってごみの分別方法が違う理由

ごみ分別

一般家庭から出るごみの分別方法は自治体によって異なります。引っ越して違う地域に住むと、以前のところとはまったくルールが違って戸惑ったという方がいるかも知れませんね。燃えるごみと不燃物、空き缶や空きびんに分けるという程度はどこも同じですが、さらに細かく分類するように定めている自治体もあります。その違いは一体何なのでしょうか?

ごみの分別ルールは国で統一されていないの?

ごみの分別ルールは国が統一ルールを設けているわけではなく、各市区町村単位で決められています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

地域(自治体)によってごみの分別方法が異なる背景には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」があります。この第6条には、「市町村が分別して収集するものとした一般廃棄物の種類及び分別の区分等を定めた一般廃棄物処理計画を定めること」とされています。
各市町村はこの法律に基づいてその地域の実情に応じて適切な一般廃棄物処理計画を定めていて、ごみ出しのルールも各市町村で決められています。

「容器包装リサイクル法」に従って分別

ごみの分別に関する法律のひとつに「容器包装リサイクル法」があります。これは1997年に施行された法律で、次のものが分別の対象になっています。

  • ガラス製容器
  • ペットボトル
  • 紙製容器包装
  • プラスチック製容器包装
  • スチール缶
  • アルミ缶
  • 紙パック(飲料用でアルミニウムを使用していないもの)
  • 段ボール

これらは家庭から出るごみの中でも容積では約6割、重量では2~3割を占めています。また、リサイクルできるものなので、ごみを出す段階で各家庭に分別を呼び掛けています。

自治体によっては細かい分別ルールがある

このように法律によって分別することが決められていますが、さらにごみを細かく分別するようにルールを設けている自治体があります。

多くの自治体では11~15種類に分別

環境省が発表している「一般廃棄物処理実態調査」の結果によると、ごみの分別は多くの自治体で11~15種類に分類するようにしています。

家庭ごみの分別例

  • 燃えるごみ(可燃ごみ)※プラスチック類を含む
  • 燃えないごみ(不燃物)
  • 資源ごみ(ペットボトル、白色トレイ、空きびん、空き缶、段ボール、紙パック、古紙)
  • 電球
  • 乾電池
  • 粗大ごみ

上記の分け方が多いようですが、自治体によってプラスチック類は分けて出すところもあります。

細かい分別ルールがある自治体も

自治体によってはかなり細かく分別ルールが設けられています。一例をご紹介しましょう。

千葉市の例

紙類やプラスチックは物によって分け方が異なります。

ペットボトル 本体はペットボトルに出し、キャップは可燃ごみ
紙類 トイレットペーパーの芯、メモ用紙、お菓子の箱、ティッシュペーパーの箱(ビニールは取り外す)は資源ごみ
水に溶けない紙(紙コップやラップの芯)、ピザやケーキの箱など食品の汚れがついているもの、においがついている洗剤の箱は可燃ごみ
プラスチック マヨネーズの容器など手で曲げられるものは可燃ごみ
定規やボールペンなど手で曲げると割れるものは不燃ごみ
乾電池 有害ごみだが、ほかのごみと混ぜてはいけない(例:乾電池1本とスプレー缶を同じ袋に入れてはいけない)

水俣市の例

水俣市では以下のように21種類に分別します。

びん類 生きびん(リターナルびん)
雑びん(透明)
雑びん(茶色)
雑びん(その他の色)
紙類 新聞・チラシ
雑誌・その他の紙類(紙パックなど)
段ボール
缶類 アルミ缶
スチール缶
ペットボトル ペットボトル本体
キャップ
電気関係 蛍光管・電球類
乾電池類
電気コード類
小型家電
容器包装プラスチック
布類
食用油
生ごみ
燃やすもの
粗大ごみ・埋め立て・破砕

生きびんとはしょうゆや一升びん、ビールびん、深緑色の酒のびん、Rマークのついたびんなどのことです。これらは洗って、またびんとして繰り返し使用されます。ただし、割れたびんは雑びんになります。
一方、雑びんは再びびんとして再利用するほか、ガラス工芸品などに加工されます。
食用油はバイオディーゼル燃料や石鹸などに再利用されます。

徳島県の上勝町の例

下記のように34種類に分別するようにしています。

びん類 リサイクルびん(酒・ビールなどのびん)
透明びん
茶色びん
その他のびん(緑・青・黒など)
紙類 新聞・チラシ(白の紙ひもでしばる)
雑誌・コピー用紙(白の紙ひもでしばる)
段ボール(紙ひもでしばる)
紙パック(切り開いて洗って出す)
缶類 アルミ缶
スチール缶
スプレー缶(中身を使い切って穴を開けて出す)
金属製キャップ(水洗いして出す)
ペットボトル ペットボトル本体(ラベルをはがして洗って出す)
キャップ
電気関係 蛍光管(そのままと壊れたものは分ける)
電球
乾電池
小型家電製品
布類 古布・毛布(ぬれたものはダメ。透明の袋に入れて出す)
ふとん・じゅうたん・カーペット
次のものも分別して出す(割りばし、紙おむつ・ナプキン、廃食油、ライター、生ごみ、プラスチック製容器包装類、発砲スチロールなど)

※上勝町では毎週日曜日に廃タイヤやバッテリーの回収を行っています。
また、生ごみはなるべく各家庭で堆肥にするように呼び掛けています。

ごみの分別で地域差がある理由

徳島県上勝町では割りばしや紙おむつは別に分けなければなりません。一方、プラスチックは燃えるごみとして扱っている自治体もあります。この差は何によるのでしょうか?

分別の背景には焼却設備と人口が関係している

プラスチックや白色トレイなどを燃えるごみとして扱っているところは、焼却設備が最新式のもので高温処理が可能であること、有害なガスが発生しないこと、焼却時の熱をエネルギーとして発電に利用できることなどの背景があります。
一方、焼却設備の処理能力が低いところでは細かく分別するケースが多いようです。

また、人口が多い都市部ではごみの量も多くなります。分別して出されたごみを自治体の職員や委託された業者などが回収し、リサイクルや処理をするのが大変という理由があります。そのために分別は大まかになっている傾向があります。

いずれにしても住んでいる自治体のルールに従うことが大切です。また、なるべくごみを出さないように工夫することが環境に優しい暮らしにつながります。

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