自治体がごみを回収してくれるのはありがたいのですが、カラスがごみ袋を開けて食い散らす被害が続出しています。1羽だけならまだしも数羽が飛んで来ると鳴き声や糞の被害も問題になります。ごみ捨て場のカラス問題を解決するオススメの方法をご紹介します。
この記事で分かること
カラスの習性を知ろう
カラス対策を考える前に、まずカラスがどんな生き物なのかを知っておきましょう。
よく見かけるカラスは3種類
地域にもよりますが、よく見かけるカラスは次の3種類です。
ハシブトガラス | くちばしが太く「カァカァ」と鳴く もともと森林に生息していたが近年は都市部に増えていて、ごみを荒らすのはこのタイプ |
---|---|
ハシボソガラス | くちばしが細く「ガァガァ」と鳴く 農耕地に多く見られ、植物を好む |
ミヤマガラス | くちばしの根元部分が白く、体は小さめ 集団で行動する |
カラスの性格
カラスは臆病で集団で行動する生き物です。昼間は食べ物を探しに人が住んでいる住宅地や市街地に飛んできて、夕方になると集団でねぐらに戻っていきます。電線などにカラスの大群が止まり一斉に山に向かって飛んでいく風景がよく見られますが、このことからも集団で行動する生き物だということがわかります。
カラスはエサをどうやって見分けるのか?
カラスはエサを視覚で判断しているのでしょうか?それとも犬のように嗅覚が優れているのでしょうか?
答えは「視覚」です。ごみ集積場所のごみ袋を見て赤い色やオレンジ色、黄色いものを「エサ」と認識しているという研究結果が出ています。赤やオレンジ、黄色は熟した果実の色と同じです。もともと山の中で生息していたカラスは、この色を見て「食べ物」であると判断しているのです。
カラス対策はカラスの習性に合わせて行うのがポイント
カラスの習性である
- 色でエサを見分けている
- 臆病で大きな音が苦手
に合わせて対策を行うのがもっとも効果的です。
ごみを見えなくする
赤や黄色などカラスの目を引くごみが外から見えないようにしましょう。最近は多くの自治体で半透明のごみ袋を指定しているところが多くなっています。しかし、半透明の袋ではカラスはエサを見つけてしまうので、ごみを入れるときに新聞紙に包んだり、黒い袋に入れたりといった工夫をすると効果的です。
ごみ全体をネットで覆う
もしごみ袋の中身が見えていても全体をネットで覆っていれば、カラスは袋を破ることができません。ネットに唐辛子成分を塗っているものを使う方法もオススメです。唐辛子はカラスが嫌うものなので、試してみましょう。
ネットのデメリットも
ごみ袋を覆うネットは安価で手ごろなのですが、デメリットもあります。
ネットの使い方を間違うと効果は半減
せっかくネットを使っていても、すき間ができていたり、風でめくれていたりすると、すき間からカラスが入ってしまいます。朝の忙しい時間帯にごみを出すのでしっかりネットを押さえないままにする人がいますが、わずかな隙をついてカラスが入ってしまいます。
これでは効果は半減するので注意しましょう。ごみ集積場所を利用する人全員が意識してネットをしっかり押さえるようにすることが大切です。
カラス以外の動物の問題も
ネットのデメリットとしては、カラス以外の動物がネットを開けたり、中を荒らしたりするという点があげられます。
最近は野良犬は減少しているので飼い犬がネットを開ける機会は少ないと思われますが、猫は飼い猫であっても外を自由に動けるためにネットを開けることが可能です。そのときにできたわずかなすき間からカラスが中を荒らすということが起こります。
ネットは費用が安いために使用している自治体が多いのですが、このようなデメリットがあるので使い方をよく考えて設置しましょう。
ネットは街の美観を損なう
さらにネットはごみが回収された後、道路に置きっぱなしになります。掃除当番の人が早くに片付けてくれればいいのですが、働いている人が多い現代では夕方や夜までネットが道路脇に放り出されたままになりがちです。
そのため、街の美観が損なわれてしまいます。カラスがネットの中に入って袋を荒らすとさらにごみが散らばって、汚れとニオイがひどくなります。
カラスが嫌がる大きな音を出す
カラスは怖がりなので、大きな音が苦手です。カラスの天敵であるワシやフクロウの鳴き声に似せた「威嚇音」を出す装置があります。また、赤外線センサーでカラスの動きを感知して超音波を出す装置もあります。
ただ、これらは費用がかかるために自治体と住民が相談する必要があります。
ごみステーションを作るのが一番効果的
箱型やかご(ケージ)型のごみステーションを設置すれば、カラスは袋を開けることができません。半透明のごみ袋を使用すると場合は「中が見えないようにしましょう」と言ってもなかなか徹底できませんが、ごみステーションに入れるようにすればその心配はなくなります。
入り口に鍵をつけることも可能です。これはカラス対策以外に住民以外の人が勝手にごみを出すのを防ぐ効果もあります。
設置には費用がかかりますが、住民が少しずつお金を出し合って設置しているところもあります。自治会費などでねん出してもいいでしょう。
少しの不要負担と工夫でカラスの被害を防ぐことができます。みんなで協力して美しい街を作っていきましょう。
同じカテゴリの関連記事
- ごみの分別~基本的な分類と、分別に迷うモノ~
自治体が回収するごみは焼却するものと、資源として再利用するものに分けて出すようになっています。しかし、中には「これは何ごみ?」と迷うものがあります。特に紙・金属...
- 地域によってごみの分別方法が違う理由
一般家庭から出るごみの分別方法は自治体によって異なります。引っ越して違う地域に住むと、以前のところとはまったくルールが違って戸惑ったという方がいるかも知れません...
- ごみ対策のキーワード”3R"とは~「ごみを出さない」が最良のごみ対策
2010年の世界のごみの量は104.7億トンにのぼり、今後さらに増加することが予測されています。日本も同様でごみの処理とリサイクルは大きな問題です。そこで取り組...
- 出されたごみは誰のもの?~ごみの所有権について
ごみ集積場にまだ使えそうなモノが捨てられていたらどうします?勝手にもらってもいいのでしょうか?もしかして窃盗罪になる?捨てたごみの所有権は誰にあるのか、気になる...
- ご近所トラブルの原因にも…守るべきごみ出しの基本マナー
ごみ出しのルールは地区によって異なります。朝はバタバタするからと夜に出したり、分別しなかったり。「これくらいいいだろう」とルール違反をすると、ご近所とのトラブル...
- 高齢や障がいでごみ出しが困難な世帯のごみ対策
毎日生活していると当然のことながらごみが出ます。ごみ集積所に持って行けば回収してくれますが、高齢になってきたり、障がいがあったりする場合はごみを出すのもひと苦労...
- 赤ちゃん育児中なら注意したい 片付け・ごみ出しのポイント
赤ちゃんがいる家庭のごみで困るのは「おむつ」の処理の問題です。さらに床に落ちたごみを誤って飲み込んでしまったという「誤飲」、使わなくなったおもちゃやベビー用品の...