ごみ対策のキーワード”3R”とは~「ごみを出さない」が最良のごみ対策

リサイクルのイメージ

2010年の世界のごみの量は104.7億トンにのぼり、今後さらに増加することが予測されています。日本も同様でごみの処理とリサイクルは大きな問題です。そこで取り組みたいのがごみの減量と3Rと呼ばれる運動です。3Rとは?そして私たちは何をすればいいのかを見ていきましょう。

地球上のごみは増え続ける!

廃棄物工学研究所の調査によると、2010年の世界の廃棄物の量は104.7億トンだとか。しかも、2025年には45%増えて約148.億トン、2050年には233.1億トンになるという予測値が出ています。

日本のごみの一人当たりのごみの量

環境省が2015年に発表した日本人ひとり当たりの1年間のごみの排出量は400㎏となっています。日本全体では約5161万トンにのぼります。
ちなみに日本と海外の各国の状況は以下のようになっています。

  総量(1000トン) ひとり当たりの量(㎏) リサイクル率(%)
紙・ボール紙 ガラス
日本 51,607 400 66 90
韓国 18,252 380 69 72
アメリカ 222,863 750 50 22
イギリス 35,077 580 56 48
ドイツ 49,563 600 73 86
ノルウェー 3,498 760 71 90

このように日本のごみの排出量は決して多いわけではなく、リサイクル率も高い水準になっています。しかし、まだまだ減らせるのではないでしょうか。

日本はごみ処理を焼却に頼っている

日本国内のごみの焼却炉の数は2013年現在で1173施設あります。この数は世界の中でももっとも多く、世界中のごみ焼却炉の約7割は日本にあるといわれています。
ただ、このうちの約28%には発電機能があるので、ごみを燃やすと同時にエネルギーを作り出す働きもしています。

これからは循環型社会に

日本では2000年に「循環型社会形成推進基本法」が制定されました。これは再利用できるものは「循環資源」として再利用やリサイクルしようというものです。

廃棄物処理やリサイクルの優先順位は次のようになっています。

  1. 発生抑制(ごみを出さない)
  2. 再使用(リユース)
  3. 再生利用(リサイクル)
  4. 熱回収(サーマルリサイクル)

世界でも広がる循環型社会

循環型社会の取り組みは日本だけではありません。世界各国でも取り組みが進んでいます。

ドイツのDSDシステム

ドイツでは1991年に「容器包装廃棄物令」が制定されました。デュアル・システム・ドイチュラント(DSD)社が設立され、「緑のマーク」を作り、このマークがついたものに回収と再利用を義務づけました。マークをつける包装材や容器を印刷する際にライセンス料を徴収して一般消費者から無料で回収するシステムを取っています。
ただし、ライセンス料は商品価格に上乗せされているので、実質的には消費者がリサイクル料を負担する形になります。

DSDシステムは欧州26ヶ国で導入

DSDは導入後20年間で包装材7800万トンを再生しています。これは2300万トンの二酸化炭素の排出量削減という大きな成果につながっています。
これらの成果が評価されて、現在ではヨーロッパの26ヶ国で導入され、アメリカやアジア、アフリカなどでも導入を検討しています。

韓国では使い捨てを規制

韓国では1994年に使い捨て製品を規制する「一回用品規制」が制定されました。例えばレジ袋を有料化することで、従来よりもレジ袋が50%減少しています。また、ファストフード店やカフェなどではリユースできる容器で提供、テイクアウト品の紙コップには50ウォンのデポジットをかけたり、ホテルでの使い捨ての歯ブラシの設置を禁止したりといった取り組みを行っています。

4Rを徹底しているデンマーク

デンマークでは1回で使い捨てにする容器には30%以上の税金を課すなど厳しい措置を取っています。
また、3R(リデュース、リユース、リサイクル)に加えて、4つ目のRであるリフューズ(不要なものは断る)に力を入れていて、レジ袋を持参するなどの取り組みが進んでいます。

フランスもレジ袋を禁止

フランスでも2016年7月1日から小売店でのプラスチック製のレジ袋の使用が禁止されます。これはプラスチック製のレジ袋が環境汚染につながるという理由からです。バイオマスを原料とする再生可能な素材の袋なら許可されますが、その場合も厚みが薄いものは禁止の対象になっています。
さらに2017年1月1日以降は量り売りの野菜や果物など生鮮食品のレジ袋も禁止の対象になります。

日本での3Rの取り組み

日本でも循環型社会をめざして3Rの取り組みが進められています。

3Rとは
Reduce(リデュース) 使用後に廃棄されることが少なくなるように製造や加工・販売すること
Reuse(リユース) 再使用すること
Recycle(リサイクル) 資源として再利用すること

毎日の暮らしでできる3R

日本では特に罰則などは設けられていませんが、日々の生活の中で3Rを取れ入れていきましょう。
例えば、次のようなことが3Rにつながります。

  • マイバッグを持参する
  • マイ箸やマイボトル、マイカップなどを持参する
  • 地域や学校などのイベントでは使い捨てではない容器(リデュース容器やリユース容器)を使用する
  • 袋入りではなく量り売りやバラ売りなどを活用して、必要な量だけ購入する
  • 詰め替え容器を使用して中身だけ入れ替える
  • 使わなくなったものはフリーマーケットやリサイクルサイトなどを利用してほしい人に譲る

など多くの方法があります。
飲食店では割り箸を置かずに洗って使えるリユース箸を使用するところが増えてきましたね。
ごみの分別は当たり前ですが、さらに一歩進んでごみを出さない暮らしを考えてみましょう。

自治体がごみの減量化に挑戦

各自治体では少しでもごみを減らすために、さまざまな取り組みを行っています。
その一例をご紹介しましょう。

東京都新宿区 環境に配慮した行動を1回1ポイントとしてカードに登録できるシステムを実施
東京都渋谷区 高齢者家庭にごみの訪問回収を実施。カラスよけネットを無料で貸し出し
東京都葛飾区・墨田区・世田谷区・練馬区・清瀬市・国立市など フリーマーケットやリサイクルサイト(「あげます・ください」サイト)などの情報をホームページに掲載
千葉県成田市 リサイクル運動として回収したもの1㎏に対して10円の奨励金を交付
大阪府泉南市 ごみの日メールをパソコンやスマートフォンなどに送付

これらはほんの一例で、多くの自治体でごみの分別をわかりやすく書いたパンフレットやアプリを提供しています。また、ごみ出しに関する出前講座や再生家具の販売、リサイクル情報の提供などにも取り組んでいます。

まずはごみを出さないことが大切

ごみはいかに処理するか、再利用するかということも大切ですが、まずはごみを出さない暮らしをすることが大切です。
「安いから買った」と必要ではないモノを買うのを控える、レジ袋や包装は「いりません」と断るなどの行動がごみの減量化につながります。

どれくらいごみが減らせたかチェックしてみよう

千葉県柏市ではひとり1日50gのごみの減量を目指して、住民がスマートフォンでチェックできるように「My 3R-Action Pad」を提供しています。
チェック項目の一部をご紹介します。ぜひ皆さんもチェックしてみてください。

  • 食事は残さず食べる
  • ランチはお弁当または食器や箸が使い捨てではない店で食べる
  • 雑誌や新聞は電子版を読む
  • ドリンクのテイクアウトはマイボトルを使用
  • 買い物はマイバッグを持参する
  • 生ごみは乾燥または水切りしてから捨てる

これは一部ですが、毎日続けることで習慣になっていきます。
ごみは工夫次第でまだまだ減らせるということですね。環境資源を守るためにも、ごみの減量化を意識してみましょう。

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