今や社会問題となりつつある「ゴミ屋敷」。毎日のごみが積り積もって部屋中を埋め尽くしていきます。そうなると大変!
ゴミ屋敷になってしまった家をどう片付けるといいのか、効率的な作業手順や注意すべきポイントについてご紹介します。
この記事で分かること
ゴミ屋敷になる原因
部屋の中には天井まで届くほどのごみがたまり、ベランダからもごみがあふれ、ひどい場合は塀を乗り越えて隣家の敷地や道路にまではみ出しているのがゴミ屋敷です。しかし、どんな家も最初からゴミ屋敷だったわけではありません。
ゴミ屋敷になる背景には何があるのでしょうか?その原因を探ってみましょう。
もったいない精神
汚部屋やゴミ屋敷になる人の中には、「もったいない」とモノをため込む傾向があります。モノを大切にするのはいいことですが、使わないものまでため込んでしまうとごみになっていきます。
捨てられなくてごみになるモノ
もったいない、捨てられないといってためてしまう結果、ごみになるものには次のようなモノがあります。
- 古い雑誌や書籍
- 以前やっていた趣味の道具
- 思い出の品
- 贈答品
- 贈答品の箱や包装紙
- 百貨店などショップの紙袋
- 洗剤などの買い置き品
- 賞味期限が切れた食品
- 何年も前に買った衣類
これらは使わないままごみの中に埋まっていきます。
雑誌は情報が古いので役立ちません。衣類も流行遅れやサイズが合わないなどの理由で着られなくなっています。
贈答品の箱や包装紙は実際に使う場面は少ないので、処分しましょう。今はさまざまなサイズの箱や包装紙が100円ショップなどで売っているので、必要なときに購入すれば問題ありません。
「いつでも手に入るから処分しても困らない」と頭を切り替えることが大切です。
片付けが苦手
小さなころから「使ったものを出しっぱなしにしないで」と叱られた経験をお持ちの方が多いのではないでしょうか?出したモノをすぐに片付けないと、次第に部屋が散らかっていきます。
本人は散らかっていても、どこに何があるのかわかると思っています。やがて散らかった部屋で暮らすのが平気になり、汚部屋からゴミ屋敷へと進んでいきます。
精神的なストレス
生活環境の変化がストレスになって、ゴミ屋敷になるケースがあります。
配偶者に先立たれた場合
たとえば今までは奥さんが部屋の掃除や片付けなどをやっていたのに急に亡くなって、残されたご主人はごみの出し方もわからないというケースです。特に分別の方法がわからず、細かく分けるのが面倒になってごみがたまっていくケースがよく見られます。
また自炊をしないのでコンビニの弁当やスーパーのお惣菜のパックを洗わずにそのまま放置しているというケースも見られます
親元を離れてひとり暮らしを始めた子ども
進学や就職を機に親元を離れてひとり暮らしを始めた人や単身赴任を始めた人などは、ごみ出しや部屋の片付けが面倒になってゴミ屋敷化する可能性があります。
精神的な疾患や障害などがある場合
ADHD(注意欠陥多動性障害)や総合失調症、パニック障害など精神的な疾患がある場合はごみを捨てられない、片付けができないといったことが起こります。
この場合は専門医で治療を受けることで改善することがあります。
ゴミ屋敷の片付け方法
では、ゴミ屋敷になってしまった場合、どのように片付ければいいのでしょうか。
次のような流れで進めていきましょう。
- 片付けに必要な道具をそろえる
- ごみを先に処分する
- 大きなものを処分する
- 捨てるものと残すもの、迷っているものに大きく仕分ける
- 残すものの収納場所を作る
- 掃除する
では、ひとつずつ見ていきましょう。
片付けに必要な道具をそろえる
片付けを始めてからごみ袋や洗剤がないとあわてることのないように、必要なものを事前に準備しておきましょう。
準備しておくと便利なもの
- 軍手・ビニール手袋
- 自治体指定のごみ袋
- 空き缶や空きびんなどを分別する袋(スーパーの袋)
- 段ボール箱
- 古新聞や雑誌をしばるひも
- 食器用洗剤
- 住居用洗剤
- 掃除機やほうき・モップなど
- ぞうきん、ぼろ布、除菌シートなど
- 殺虫剤
自治体のごみ回収スケジュールを調べておく
多くの自治体では、空き缶や空きびんは月に1度しか回収されません。
役所で「ごみ回収スケジュール」と「分別ルール」を書いた紙をもらってきましょう。
ごみ回収日の直前に片付けると、何日も家の中でごみを保管する必要がなくなります。
計画的に進めましょう。
また、自治体では家庭ごみの搬入を受け入れる場所を設けている場合があります。車で持ち込まなければなりませんが、回収日まで保管しなくても持ち込めばそれだけ早く家が片付きます。
ごみを処分する
ゴミ屋敷は周囲の人が見たら「全部ごみ」に見えるかも知れませんが、本人にとっては残しておく理由があることがあります。
ただし、明らかにごみとわかるモノはきれいさっぱり処分してしまいましょう。
明らかにごみとわかるモノ
次のようにすぐにごみとわかるものを処分していきましょう。
- 空き缶・空きびん・ペットボトル
- コンビニのお弁当のパックや食品トレイ
- 割り箸やプラスチックのスプーンなど
- 紙くず
- 古新聞や雑誌
- カタログやダイレクトメール類
- 破れた衣類
- 割れた食器
- 壊れているもの
- 賞味期限が切れた食品
- 固まったり、変質したりしている洗剤類
これらは衛生の面でも早く処分すべきです。ひとりで片付けるのが大変な場合は家族や友人知人などにお願いして手伝ってもらいましょう。ただ、家の中の惨状を見られたくないという気持ちもよくわかります。その場合はごみ回収業者にお願いしてみましょう。家庭ごみや粗大ごみを全部処分してくれます。
空き缶や空きびんなどは洗って出す
長い間放置されていた空き缶や空きびん、ペットボトルなどは底に液体が残っていて腐敗している可能性があります。
場合によっては虫が発生していることも。可能ならばきれいに洗ってから分別の袋に入れておきましょう。
ごきぶりなどの害虫を見つけたら、その場で駆除していきます。
大きなモノを処分する
ゴミ屋敷を片付けるには、まず部屋の中に空間を作る必要があります。
最初の手順で明らかにごみとわかるモノを出したら、それを1ヶ所にまとめておきましょう。そのスペースを作るためにも、また次の手順で残すモノと捨てるモノを仕分けるための場所を作るためにも空間を確保します。
そこで大型ごみを処分しましょう。
大型ごみの例
大型ごみはスペースを取るので、早い段階で残すかどうかの判断をします。
- ベッド
- 布団
- ソファ
- 座椅子
- テレビ
- タンス
- ラック
- コタツ
- カーペット など
特にベッドや布団、こたつ布団などは湿気を含んでダニが発生している可能性があります。早くに処分してしまいましょう。
ただし大型ごみは自治体で「粗大ごみ」として回収してくれますが、テレビや冷蔵庫などの家電リサイクル法の対象になっているものは自治体では回収してくれません。
また、自治体の粗大ごみ回収は申し込んでから1~2週間後の回収になります。
大型ごみを早くに処分したい場合は、民間の粗大ごみ回収業者に依頼するとスムーズに片付けられます。
残すものを仕分ける
明らかにごみとわかるものは先に処分しているので、ここではそれ以外のモノで残すか捨てるか、一時保留にするかどうかを考えていきましょう。段ボール箱を3つ並べて「捨てるモノ」「残すモノ」「一時保留するモノ」を仕分けていきます。
捨てるかどうか迷ったときは「捨てる」
自分で「捨てる」と判断できないためにゴミ屋敷になっているのです。処分するか残すかを迷ったときは、とりあえず処分する箱に入れましょう。どうしても必要なものは迷わないはずです。「いつか使うかも知れない」というものは、そのいつかが来たときに購入すればいいのです。
今は安くていい品が多く販売されています。急に何か必要になったとしてもコンビニや夜遅くまでやっているスーパーで購入できます。「いつか使うかも」と思うモノは処分してしまいましょう。
思い出の品に要注意
誰かからのプレゼントで気に入っているもの、今現在使っているものは残しますが、もう使っていないものやその人との関係が終っている場合は処分してしまいましょう。
どうしても気になる場合は写真に撮影してモノは捨てるという方法があります。
記念品や結婚式の引き出物などのいただきもので使えそうなモノはリサイクルショップに持って行くなどの有効活用を考えましょう。
残すモノの収納場所を作る
ごみの多くが処分できると、家の中にはかなりのスペースができるはずです。
そこで残すものをとりあえず1ヶ所にまとめて、収納場所を作りましょう。
安い収納グッズを使う
今はさまざまな収納グッズが安くて売っています。それを購入して新たな収納スペースを作りましょう。
ただし、無計画に買ってくるとまたごみになってしまいます。
最終的に何を残すのか、部屋をどう使うのかをよく考えて必要なものだけを買ってくるのがおすすめです。
次のようなものがあると便利です。
- 3段のカラーボックス
- 突っ張り棒
- 衣装ケース
- ハンガーラック
部屋に合わせて工夫してみましょう。ただし、あまり細かく仕分けると、次第に片付けるのが面倒になってしまいます。大きな箱やおしゃれなかごなどにひとまとめにすると毎日の片付けが楽になり、散らかるのを防げます。
掃除をする
ゴミ屋敷が片付いたら、部屋を掃除しましょう。
長い間、ごみで埋まっていた部屋には湿気やほこりがたまっています。窓を開けて風を入れて乾燥させましょう。日光を当てるのも消毒の効果があります。
必要に応じて煙を使うダニ駆除などもしておくと安心です。
ゴミ屋敷の片付けは業者に依頼する方法も
ゴミ屋敷は家一軒まるごと大掃除をするわけですから、手間も時間もかかります。1日では終わらない可能性があり、仕事を持っている人には難しい面があります。
そういう場合は粗大ごみ回収業者に依頼してみましょう。
業者の中には粗大ごみだけでなく空き缶や弁当箱の食べ残しなどの家庭ごみや分別ごみもまとめて回収してくれるところがあります。また自治体では回収できない家電製品も一緒に引き取ってくれます。後の掃除までしてくれるところがあるので、相談してみるといいでしょう。
事前に複数の業者で見積もりを取っておくと安心です。
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