長く使っていると傷んでくるマットレス。大きなものなので家庭ごみの対象ではなく、粗大ごみとして出します。ただ、マットレスの種類によっては重くて運び出すのが大変です。行政と民間の粗大ごみ回収業者では料金はどれくらい違うのでしょうか。また、その他の処分方法についても調べてみました。いつかはごみとなるマットレス。今から処分するときのことを考えておきましょう。
マットレスの構造は意外と複雑
マットレスとひと口に言っても、薄いものからベッドマットのような分厚いもの、ウォーターマットやエアーマットレスなど種類がさまざまです。
それぞれの特徴を見てみましょう。
マットレスの種類
マットレスは中に使われている素材などによって、次のような種類に分けられます。
ポケットコイル | 小さく柔らかいコイルをたくさん使うスプリングタイプのマットレス |
---|---|
ボンネルコイル | 大きく硬いコイルを使ったタイプ |
低反発マットレス | 低反発ウレタンを使ったタイプ |
ウォーターマットレス | 中に水が入っているタイプ |
エアーマットレス | ウレタンを使用しているタイプ |
ポケットコイルマットレスの特徴
ポケットコイルとはコイルスプリングというバネを圧縮して通気性のある不織布のポケットに入れているものです。このポケットコイルを何個も並べているのがポケットコイルマットレスです。
このコイルの数と並べ方を変えることでマットレスの硬さが異なってきます。
ソフトタイプ | 約530本のコイルを並列に並べたもの |
---|---|
ハードタイプ | 約620本のコイルを交互に配列したもの |
他にもコイルの数や並べ方、コイルポケットに詰める詰め物、コイルの太さや巻き数などを変えて硬さを調節します。
ポケットレスマットレスは表側から順に、次のような構造になっています。
表生地 | ウール入りの綿 | 防ダニ用綿 | 抗菌の不織布 |
ウレタン素材 | ポケットコイル | 不織布 | ウレタンフォーム |
外生地 |
そのため、マットレスはかなりの重さになります。
ボンネルコイルマットレスの特徴
ボンネルコイルマットレスはらせん状に巻いたコイルスプリングをマットレス全体に配列しているものです。ポケットコイルマットレスのように詰め物がないので、寝返りを打つとマットレスが揺れるという特徴があります。
また、バネの数はシングルサイズで約210本程度なので、ポケットコイルマットレスの半分以下となっています。
ボンネルコイルマットレスは表側から順に、次のような構造になっています。
表生地 | ウレタンフォーム | 不織布 | フェルト |
コイル | ボンネルコイル | 詰め物 | フェルト |
不織布 |
低反発マットレスの特徴
低反発マットレスは低反発フォームと呼ばれる素材を使っています。低反発フォームは衝撃などを吸収する働きがある軟質ウレタンフォームの一種で、体重がかかってもゆっくりと元に戻る性質があります。
低反発マットレスで寝ると、体圧が全体に分散されるので腰痛や床ずれの防止になると言われています。厚さや硬さなどはさまざまです。
ウォーターマットレスの特徴
ウォーターマットレスはコイル式マットレスのバネの部分に水を入れたものです。コイル式マットレスはバネのスプリング部分が尻や腰、肩など体が出っ張った部分に当たりますが、ウォーターマットレスは水に浮いているような感覚があります。そのため、体にかかる負担が軽減されるのが特徴です。
表側から順に、次のような構造になっています。
カバー | ウォーターバッグ(水を入れる部分) |
セーフティーライナー(水漏れ防止素材) | フレーム(マットレスを支える) |
エアーマットレスの特徴
エアーマットレスは突起のあるウレタンフォームを使用したマットレスで、突起が体圧を分散してくれます。スポーツ選手が多く愛用しています。
エアーマットレスは表側から順に、次のような構造になっています。
表布 | ウレタンフォーム | 裏布 |
マットレスの重さ
このようにマットレスは種類によって構造が大きく異なります。しかも、そのどれもがかなりの重量があります。
マットレスの種類 | 重さ |
---|---|
ポケットコイルマットレス | 約23㎏ |
ボンネルコイルマットレス | 約29㎏ |
低反発マットレス | 約5kg |
ウォーターマットレス | 水を入れた状態 約400㎏ |
エアーマットレス | 約5kg |
マットレスの処分方法
自分で分解するのは無理!
一番軽い低反発マットレスでも重さは5kgもあります。スプリングを使用したマットレスは20㎏以上あります。これを分解してごみに出すには表布を切って中身を出すという作業が必要ですが、コイル式のマットレスはコイル部分に行き着くまでに何層もの布やフェルトが使われていて、とても困難です。
また、ウォーターマットレスの水を抜く場合や移動させる場合は、必ず販売店かメーカーに連絡して専門家にやってもらうようにという注意書きがあります。しかも、それは有料だということです。
そのため、分解して燃えるごみとバネなど不燃物に分別して出すというのは無理だと言えます。
行政の粗大ごみでマットレスの回収は可能?
行政の粗大ごみでマットレスの回収は行っています。自治体によって料金は異なりますが、安いところで300円、高いところでも1000円程度で回収してくれます。
ただし、行政の粗大ごみは、家の玄関前などに出しておく必要があります。重さが20㎏もあるマットレスを運び出すのは大変です。家族や友達など数人で協力して搬出しなければなりません。あまり現実的な方法とは言えないでしょう。
粗大ごみ回収業者なら搬出もしてくれる
一方、粗大ごみ回収業者は重くて運び出せないものでも、家の中まで取りに来てくれます。住まいがアパートやマンションなどの高層階であっても引き取りに来てくれるので、重いマットレスでも安心です。
ただ、ウォーターマットレスは一度、業者に相談してみましょう。
リサイクルショップやオークションには不向き
マットレスは直接肌が触れるものです。シーツやカバーを使っていたとしても、他人の物を使うのは抵抗を感じる人が多いと言えます。また、スプリングが弱くなるとか、生地が傷むなど使うことで劣化していきます。
そのため、リサイクルショップではあまり取り扱いはしていないようです。オークションでも重い物なので、送料がかかるといった問題があります。
新品に近い場合はリサイクルショップで相談するといいでしょう。その場合は家まで査定や引き取りに来てくれる業者を選ぶことが大切です。
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